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行こか戻ろかイギリス生活

行こか戻ろかイギリス生活

Paco Pena y Angel Munos

Paco Pena and Angel Munos (2006年5月6日)

Paco Penaといえば、コルドバ出身で現在はロンドン在住のフランメンコ・ギタリスト。
数年前にSomerset Houseでの野外公演でその演奏を拝聴したが、ギターの腕前はもとより、彼自身が直接選んだという選りすぐりのダンサーを率いて彼自身がプロデュ-スする公演の質の高さには定評がある。

今年は、4月21日から5月13日までの3週間、ロンドンのPeacock Theatreでの長期公演。数年前までは、うちから程近い小さな劇場にも来てくれていたのに。。。そのメジャー振りがちょっと残念な気もする。(ま、何でも近所で済ませようとする私の心がけも考えもの。)

今年の目玉は、メインのゲストダンサーのAngel Munos。去年のクリスマスコースでお目にかかって以来、そのテクニックと熱い指導法、そしてその人柄の良さにすっかり魅了されてしまい、多分、今私が一番好きな男性のダンサーである。

今年のヘレスのフラメンコフェスティバルでは、夜12時からの小劇場での彼の公演を観に行き、初めて舞台で踊るAngel先生を拝見。その時は、アフリカのパーカッションを取り入れるなどフュージョン系の幕開けが意外であったものの、気迫のこもったソレアとファルーカを見せていただいて大変満足した。(ちなみにヘレスでの公演の模様はこちらから。)

私のフラメンコ仲間うちでもAngelの人気振りは凄い。
ある生徒は、私の顔を見ては「Angel Munos….」とつぶやき、いつもいつもAngelの話をしたがる。ま、フラメンコを知らない人とは話せない話題だし気持ちは判るが、彼女の熱の入れようは相当なもの。
また、先日、フラメンコ仲間のカップルと練習の帰り道、またまたAngelの話題になり、カップルの女性の方が「今度Paco Penaの公演の時にAngelに花束を渡したい」と言い出し、実は私もお花を持って行こうかなと密かに思っていたので、「あ、私も渡そうかな。でもPaco Penaの公演なんだからPacoにも渡さないといけないんじゃない」なんてきゃあきゃあ盛り上がっていたら、カップルの男性の方が非常に気を悪くして、その後の帰り道、一言も口をきいてくれなくなったなんて事もあった。

結局花束はやめたが、大変楽しみにしてきた今日のプログラムは下記の通り。

Alborea - The Company
La Guitara - Paco Pena
Palillos Ritmicos - Charo Espino
Martinete - Angel Munos
La Cana - Angel Munos y Maria Jose Franco
Alegrias - Ramon Martinez

Interval

Suite, Guitarra y Baile - The Company
Cantinas - Maria Jose Franco
Solea - Angel Munos
Explorando el Compas - The Company
Ritmo Nuevo - The Company

最初のAlboreaは余り聞いた事のない感じの曲でゆっくりした流れでの群舞は何だかちょっと窮屈そう。
ここで、女性ダンサーが、今年のロンドン・フラメンコフェスティバルでAntonio El Pipaと一緒に来ていたMaria Jose Francoである事に気付く。彼女は大変体つきが細く、そのスラリとした体に似合わず情熱的に踊る様子に、今回も思わず引き込まれる。
いつもはAngelの奥様のCharo Espinoが女性段ダンサーとして参加しているらしいが、何でも彼女は現在妊娠中で、今回は椅子に座ってPacoのギターと、カスタネットで共演のみ。なんだかきつい顔立ちの美しい奥様だったが、座ってカスタネットを叩いているだけで貫禄充分。この次は是非踊っているところが見たいと思った。

前半の最後はRamon Martinezのアレグリアス。
最初は何だか酔っ払っているのかと思うくらい、ターンをさせれば4分の3位で止まってフラフラしたりと、「真面目にやらんかいッ」と思ったが、段々、その遊び倒したコンパスの刻み方に引き込まれていき、そのうち、フラメンコ本来の遊び心一杯でしかも情熱的な演技の本質を垣間見たような気がしてきた。ふとバックを見るとPacoもニヤニヤ笑いながら彼の踊りを見ている。
会場も、下ネタ風の下半身の動きにクスクス笑いが起きたり(相変わらずイギリス人、気取っていても下ネタ好きである)と、最後は大盛り上がり。何だか凄いものを見た気がした。

凄いものを見た気がしながらも半信半疑でいたところ、後半の幕開けで登場のこのRamon君、Pacoのギターにあわせてソロで踊る為に登場した時には、髪を後ろできちんと結んで4回転もお茶の子さいさいと、その技術の高さを見せつけ会場の皆はビックリ。公演パンフレットによると
エヴァ・ラ・ジェルバブエナやマリア・パヘスの公演に参加なんて華々しい経歴の持ち主のようで、彼のアレグリアスでの演技にすっかりだまされてしまった格好だが、あんなにいろいろな芸風で踊れるなんてとても羨ましい。

後半、いよいよAngelのソレア。Ramonを見た後のせいか、やはりAngelのスタイルはかなり伝統的で絵に描いたようなフラメンコ。何処を切っても美しい。シンガーの女性も、Angelに向かって歌う。(彼女もAngelにぞっこんか)。最後ソレアからブレリアに入ってからは、ヘレスでは10回くらいいろいろなブレリアを見せてくれたのに、今回は2回くらいでエンディングに行ってしまってちょっと寂しかった。しかし、やはり良かった。ああ素敵。(こればっかり)

と、構成も曲の種類も内容も、大満足の公演だった。


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